むしられ放題。

個人的なお疲れ感とこの国のエライ人たちのやりたい放題への無力感に、いささか文章を書く気力が失せていた。

私たちの生活に大きく影響する法律改正や改正答申が目白押しなのにもかかわらず、マスメディアではさして大きく取り上げられていないことに絶望的な気分。高いところから降りられなくなった犬や猫に目をそらされている場合じゃないと思うのだが。

著作権法の改正が成立。

海賊版販売などの著作権法違反の個人への刑罰がこれまでの「懲役5年以下・罰金500万円以下」から「懲役10年以下・罰金1千万円以下」に引き上げされる内容がひっそりと付け加えられた。来年には「違法ファイルをダウンロードする行為」の罰則化も検討されている。そうなるとYouTUBEで違法ファイルを視聴することも厳密には懲役10年以下・罰金1千万円以下を処せられる犯罪になる。(ストリーミングムービー視聴がデータを自分のハードディスクにダウンロードしてる行為なんだ、ということをどれぐらいの人が理解してるのだろう?)もう一つ付け加えると、文化庁の見解ではNHK国会中継も場合によっては著作権保護の対象になるという。つまり来年予定されている著作権保護法の改正後は自分のブログやYouTUBE国会中継のムービーを貼り付けると「10年以下・罰金1千万円以下」に相応する犯罪とされる可能性がある。なお、現在国会でせめぎ合っている共謀罪には著作権侵害も対象犯罪として含まれている。

政治資金規正法外資規制」の解除が成立。

外資比率が50%を超す企業からの政治献金を解禁する改正。改正理由が「上場会社の株主構成は常に変動する流動的なものであることから、発行済み株式の過半数を基準に判断する現行の制度では、寄附の受領者を常に不安定な地位に置く結果となって」いる、だって。要は「アメリカの年次改革要望書通りにやってるからどんどん外資が入ってくるよ。そうすると今まで献金を貰えてた会社に外資が入ってくると献金が貰えなくなるじゃん?それは困るから改正しとくか。」ってことだよね?さらに「官報に収支報告書の要旨が公表されるまでは、情報公開法の開示請求があっても開示決定を行わない。」だって。なんやそれ。

法人税の減税化法案を検討中。

現在の標準税率39.54%を30%程度に下げて欲しいという経団連の意に添うかたちで政府税制調査会にて検討中。(安倍政権下の政府税制調査会の委員には企業幹部が倍増した。)標準税率39.54%を30%に下げると4.4兆円の税収減。参院選後に表面化しそうな消費税2%アップ案で私たちからむしられる金額がちょうど4.4兆円。
小泉政権下の02〜06年の税制改正ですでに企業には1.4兆円の大減税に対し、個人所得は3.9兆円の大増税になっている。07年には定率減税がすべて撤廃され個人の税率はさらに高くなる。定率減税の全廃で徴収されたわたしたちの1兆円は、減価償却制度の見直しを通じた法人税減税による税収減を補填するために使われる。また老齢者控除廃止や公的年金等控除の縮小など、高齢者にとってとんでもない増税がすでに実施されているのだ。

ホワイトカラーエグゼンプション(労働時間規制適用免除制度)の法制化を検討中。

早ければ2008年度にも立法し施行される可能性がある。
ホワイトカラーエグゼンプション」とはある条件に該当する労働者に対して労働時間規制(労働時間や残業対価などに対する規制)を適用免除する、というもの。要は労働者の賃金を時間基準で支払わなくともよいことを可能にする制度だ。欧米では既に導入済み、といってもかの地では人事権を持つ管理職のみが対象のようだが、現在検討されているわが国のホワイトカラーエグゼンプション制度は全サラリーマンを対象としている。
労働者使い捨てが現状のこの国ではサービス残業合法化にしかつながらないのは目に見えてるのに。

・労働者派遣法の改正を検討中。

現行の労働者派遣法には「同一の業務に同一の派遣労働者を3年を超えて受け入れており、その同一の業務に新たに労働者を雇い入れようとする場合、派遣先は原則的に派遣労働者に対する雇用契約の申込みが義務付け」させられているが、これを撤廃しようというもの。何十年正社員と同じ業務をさせられていても派遣のサラリーで固定することが可能になる。同時に派遣社員の対象職種の制限撤廃も検討されている。

労働組合の団体交渉権を企業内多数派組合にのみ認める労働法改正を検討中。

現在は少数の従業員でも組合を設立すれば経営者側に団体交渉を申し入れる権利を保障されているが、法案が改正されれば少数派組合は交渉権を失う。有志で組合を立ち上げても多数が加入しなければ組合と見なされないのだ。これは未組織の企業従業員は団体交渉権を得るチャンスをほとんど失う、というのと同義だ。

ここ10年で急増した日本の年間自殺者数は昨年では3万4000人。そのうち30%は、経済的理由によるものと言われている。(自殺率はG7等の先進国の中では二位を4倍ほど引き離してダントツの一位。1日93人強、一時間に数人もの人がこの国のどこかで首を吊ったり高いところから飛び降りたりしてるのだ!)

小泉純一郎氏は自殺者の増加について聞かれた時、「気の持ちよう」っていってたよね...。

もひとつおまけに。
これまで行われて来た内閣府のタウンミーティングの費用は総額で約100億円、「官邸メールマガジンシステム一式費用」1億2544万5600円だって...。