ちょんまげな夜。

モッシュ!な状態でもみくちゃにされた先月の難波BEARSに続き、本日はアメリカ村KING COBRAにてまたもミドリのライブに参戦。懲りずに観客平均年齢の底上げに励むのであった。

いいバンドかそうでないかの違いはわたしは音の「厚み」だと思っている。たとえ出音がショボかったりテクニックが稚拙であったりしても、何かが伝わってくるバンドが出す音には「厚み」というしかない自信が感じられるのだ。ミドリは聴きに行くたびにどんどん音が厚くなっていってるのがわかる。もの凄い勢いでこのバンドの力は強くなっていってる。
最近はメディアにも取り上げられることが多くなり、二枚目のCDもメジャーレーベルから出すようだけど、それでいていつ解散してもおかしくないような危うさが魅力のミドリ。小さいハコでやってる今聴いて観ておかないと絶対損しますよ!

「パッケージされた音楽なんか聴いとるからお前らの耳は腐るんじゃ!もっとライブに来んかい!目と耳で聴け!目と耳で聴け!」(by ミドリ・後藤まり子)

ということで相変わらずちょっと涙ぐみそうになるボーカルの後藤まり子のDETH声に浸った至福の夜。(それにしても彼女がギター抱えたまま、さして客入りの良くないフロアに後ろ向きにダイブしたのはちょっとびっくりした。)

さてその夜のライブではミドリのステージ以外にも予期せぬ収穫が。
ビルの三階にあるKING COBRAへの階段をあがっていくと上からなぜかちょんまげ男が降りてくる。「なんじゃらほい?」と意表を付かれて思わず脇へ退いてしまったのだけど、よく見るとちゃんと月代を剃ってマゲを結ってるし、錦織の単衣と袴を身にまとった立派な侍姿。ハードコアな夜のはずなのになんでそんなしりあがり寿のマンガの登場人物みたいな人が。「???」となったまま出演バンドの演奏を聴いていると、なんとチョンマゲ男は三番目に出てきたバンドのギタリストだった。それもバンドのコンセプトになんの関係も無く彼だけチョンマゲに袴。リアルギター侍
そして始まった演奏はハードコア。しょっぱなから烈しいヘッドバンキングで折角のチョンマゲも元結いがふっとびいきなり佐渡流人考。石抱きの拷問を受けているが如き苦悶の表情。絵面はどうみてもコミックなんだけど、でもそれがなぜかすごくカッコよかったのだ。曲が盛り上がるところではモヒカンのベースと二人で六方を踏みながらクルクルまわるのだけど、それがまた実に意味もなくカッコイイ。いや、どんなスタイルでも吹っ切るとカッコいいねえ。
ステージを終えたギター侍にこわごわ話しかけてみると憑き物が落ちたように温厚なたたずまいで、まさしくしりあがり寿タッチ。えもいえぬ味わいを醸し出していた。

ちょんまげギタリストのいるバンド、その名も「_ _ _ _*」。万人におすすめ出来るとは言いかねるけど、ちょんまげマニアの方には自信を持っておすすめ出来ます。