アンドロイドのエロス。

全てのセクシュアリズムはフェティシズムである。

なんでそんなことを思うようになったかというと、ある人物の「わたしが好きになる対象は性別ではなく体型である。」という述懐を知ってからだ。この人は周囲からはいわゆるバイセクシュアルだと思われているのだけど、本人曰わく「私がエロスを感じる基準は男か女かではなく太っているかどうか。」だというのだ。でこれを読んで目からウロコが落ちる思いがしたのだった。つまり誰もが対象に「エロス」を感じるかどうか常に天秤にかけていて、ただその天秤の支点が「男性か女性か」「ポチャかスレンダーか」「ぶちゃいくか綺麗か」「SかMか」などのように人それぞれ異なっているだけでそれぞれの天秤そのものは等価ではないか、と考えるようになったのだ。
それ以来「世の中に変態などいない!というか人類みな変態」というのがわたしの基本スタンスになった。さらにネットの海を彷徨っているうちに私にはうかがうべくもないエロスの価値基準が世の中には実に多種多様に存在していることを知り、わたしの「人類みな変態」史観はますます強固になってきた。

で人間の数だけあるフェティシズムのひとつに、四肢のいずれか、あるいは全てを欠損している異性もしくは同性にエロスを見いだす「Amputees lover(四肢欠損フェティシズム)」と呼ばれるものがある。Amputees loversが好むイラストや写真を見ても私には「???」でエロスとはつながらないものだったけど、Lisa Bufanoのダンスを見てAmputees loversの天秤を少し感じた気がした。彼女のダンスには不思議なエロティックさが漂ってる。下の映像での家具とも人体ともつかないフォルムから放たれる彼女のメッセージは挑発的だ。

子どもの頃、「自分がもしアンドロイドだったら?」などと考えることにかすかなエロスを感じた時期があり、また同じようなことを人からも聞かされたことがある。塚本晋也「鉄男」という映画なぞはまさにそのようなエロスを映像作品にしたものだと思う。スピルバーグの「A.I」にも同じようなフェティシズムの片鱗を感じる。肉体の一部が無機質な物体に置換されることにエロスを感じる回路は誰しも奥底に持っているものなんだろうか。

by sivaprod | 2007-07-07 13:36 | セクシュアリティ | Trackback | Comments(8)
Commented by ショーチャン at 2007-07-07 21:56 x
「SIVAさんの天秤の支点」など、知〜り〜たくな〜い〜の〜♪

フェティッシュの世界は底知れません。覗くのが怖いくらい。「わたしが好きになる対象は性別ではなく体型である」というのは非常によく分かります。バンコクのパッポンでシーメールのショーを見たとき、その体の線の美しさに呆然自失。チンチンが付いていようがかまわない...危うく一線を越えるところでした。

Commented by sivaprod at 2007-07-09 00:41 x
>ショーチャン

またまたそうやってきちゃないもんから目を背けるみたいな言い方...。

>チンチンが付いていようがかまわない

わたし周囲の男どもに「妻夫木くんと細木数子のどっちかとせなコロス、言われたらどっちとする?」ってよく聞くのですが、たいがい「...う〜ん、妻夫木くんかな...。」と返ってきます。やっぱりみんな結局は外形フェチなんですよ。

Commented by yas at 2007-07-09 17:42 x
猟奇的なものを好む人と紙一重の感覚でしょうね。
誰にでもきっとそういうものにエロスを感じる瞬間ってあると思うんです。とくに少年少女時代には。もともと持っているそういう心をだんだん封印していくのだろうとボクは思います。歯止めのきかない人がその手の犯罪者になるのか、一瞬のぞかせた少年少女的な心がそうさせるのか。どうなんでしょう。
Commented by nabezo at 2007-07-10 02:13 x
妻夫木と細木・・・間違いなく妻夫木!
・・・は人間の跡形も残っていないよね。
Commented by 爛々 at 2007-07-10 04:03 x
素晴しい.....
マシューバーニーのクレマンソーにもガラスの義足の女性が出てきましたが.....それ依頼の感動でつ。
Commented by sivaprod at 2007-07-10 05:59 x
>yasさん
>心をだんだん封印していく

他者を傷つける性衝動は双方合意のものは除き封印すべきでしょうが、そうでないものは照れずにもっとみんな肩の力抜いて楽しめばいいのに、と思うんですがいかがでしょう。

Commented by sivaprod at 2007-07-10 06:01 x
> nabeちゃん

たいがいそうやんねえ!
なのに意固地に「俺は細木数子にそそられるんや!」っていう奴がいるのはゲイフォビアなのかあるいは超オバコンなのか?

Commented by sivaprod at 2007-07-10 06:09 x
>爛々姉様

マシュー・バーニー、金沢の美術館に見に行きましたの?
Lisa Bufanoのサイトに行くと”テーブルが踊り出し女と化す”ダンスのコンセプトワークが写真で掲載されていてそれがなかなかカッコイイです。

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