「公務員が多すぎる!」か?


 秋葉原での事件。
私には昨今の公務員叩きに興ずる人々があの事件の犯人に重なって見えて仕方がない。
自分が這い上がれないのならせめて幸せそうな奴らを引きずりおろして溜飲を下げたい、という蜘蛛の糸にぶら下がる人々。


 そんな人々の支持を背景に国も地方自治体も公務員の削減が既定路線になってしまってるようだ。私の住む大阪でも「教務事務補助員などの雇用よりイルミネーションイベントを優先する」と公言する首長が高い支持率を保っている。


 私は公務員の仕事がそんなに安楽なものでないと思っているし、民間企業の被雇用者の待遇をせめて公務員並にまで引き上げることを目指すのが為政者の仕事だと考えているのだが、それでも漠然とだがこの国の公務員の数は過剰なのではないかとも思っていた。


 ところが最近知ったことだが、日本の公務員の全雇用に占める割合は諸外国に比べて実はかなり低いのだった。1994年のOECD調査によると人口一万人あたりの公務員の数は

日本:321人
フランス:1612人
イギリス:735人
ドイツ:678人
アメリカ:643人
イタリア:628人


 サミット参加国で日本より少ないのはカナダのみ、「小さい政府」政策を推進してきたアメリカやイギリスの半分以下だ。民間の賃金との差も調査対象国の中では最も低い水準にある。


 びっくり。
「公務員が多すぎる!」と絶叫したかの大阪府知事がこの数字を知っていたかどうか。
もちろん上記の日本の数字には「みなし公務員」である天下り法人の被雇用者は含まれていない等、数のみで単純比較は出来ないが、少なくともイルミネーションイベントを優先するために末端の公務員350人を解雇する政策が妥当かどうかを検討する材料の一つにはなる。


 安穏と暮らしている(ように見える)公務員を自分と同じような不安定な境遇に引きずりおろせば溜飲は下がるだろう。みんなで仲良く不幸になれば相対的に自分の不幸は軽くなる。そして相対的に軽くなった不幸を子や孫に引き継がせるのだろう、この国の人々は。