またも負けたか八連隊。


 全国統一学力テストなるものが行われたそうで。その結果わたしの住む大阪の子供達が下から数えた方がはるかに速い成績を取ったことに橋下府知事が噴き上がっているようだ。なんでも「教育非常事態宣言」の発令も辞さずとか。

 元教育学徒のひとりとしては「知識と知恵とではどっちが大事やと思てんねん、おう?」とか「テストでは採点出来ん教育もあるんちゃうんか、おう?」とか「全国の小中学生共がそのテストでええ点取るようになるのんが”上がり”なんか、おう?」とか「そもそもサンプル抽出調査やったらなんであかんねん、そんなにベネッセ儲けさせたいんか、おう?」などと色々インネンつけたいところもあるし、また実際このテストの実施に凝議をとなえる教育関係者が多い調査でもあるのだが、それでも就学援助率が高い地域ほど平均点が低い傾向を示す結果が出たことで社会の階層格差の拡がりが顕在化したことなど、調査の結果を全く無意味なものとして捉えるのも勿体ない気もする。もっとも教育予算を削っておいて"教育非常事態宣言"を叫ぶメチャクチャな人物が知事として支持されてるのを見ると調査結果が大阪府に於いてポジティブな方向に活用されるのは絶望的に期待薄だとも思えるが...。

 そういう時にこういうことを言うと補給路を断たれた前線で戦う兵士の如き大阪の公教育関係者に叱られそうだが、わたしはこの全国統一学力テストで大阪の子供達がダメダメな成績だったことが実はちょっと面白かった。大阪がいかに地域経済が低迷化し階層格差が拡がりつつある破産寸前都市といえども富の集中度や情報集積度は他の自治体に比べてまだまだ高いはずだ。にもかかわらず大阪の子供の成績がやたら低かったのは学習習熟度の問題だけじゃないような気がする。

 日本に徴兵制が敷かれてたころ「大阪出身の兵隊は弱い」という風説を揶揄して「またも負けたか八連隊」という俗謡が流行ったそうで、実際にそうだったかはともかく「戦争なんぞアホラシ、命あってのものだねやんけ。」といかにも大阪人が言いそうな空気が象徴されていて私は好きなフレーズなのだ。大阪の子供たちが「全国統一学力テストなんぞアホラシ。」と思っての今回の成績だったとしたらやつらもなかなかやるじゃないか。ちなみに知り合いの中学教諭によると「このテスト、成績に関係あるん?」との質問が生徒達から続出したそうだ。