デザイン料金の請求について。

相変わらず体調すぐれず。

デザインという仕事は自らの頭脳で創出した商品を金銭に換える商売である。
当然のことながら商品にはそれに見合った支払いを受けなければならない。
JIDA(デザイナーの利益保護団体)などでは請求金額のガイドラインを作成しており、デザイン費用請求の一つの基準として時間単価を設定している。そこには請求モデルとして1時間あたり2万円、打ち合わせにはグリーン車料金の請求を。などと記載されていたりするが、多くのフリーランスデザイナーにとっていささか現実離れした設定であるのは否めない。
もちろん時間単価で請求金額を積算する以外にも、自分がデザインを手がけた製品が一つ売れるたびにその製品代金の内の何パーセントかをロイヤリティとして支払って貰ったり、あるいは一定のデザイン顧問料を頂いたり、といった形の支払い契約もあるが、やはり一般的に多いのは時間単価の積算によるものだろう。

わたしの場合はと言うと。
作業の質に合わせて単価を増減させるわけではあるが、基本的に1時間の時間単価を最低5000円に設定している。それで積算すると1日8時間で40000円、月に20日働いて80万円、年間960万円を最低請求金額の目標にしているわけである。
結構いい商売じゃないの。との声が聞こえてきそうだが、それがそのまま収入になるわけでは無く、上記の金額の中から事務所経費や保険代書籍代その他諸々の諸経費を支払わなければならない。また毎日8時間しっかり仕事が確保できる職種ではなく、さらに言えば布団の中や遊びに行ってる間でもアイデアを練っていたり、リサーチを兼ねて休日に繁華街ウォッチや物販店巡りをしていたりする。これらオフの間にアイデアをこね回したりリサーチしたりするのに費やした時間はもちろん誰にも請求出来ない労働時間である。
さらにリアルな話をすると、最低単価を5000円に設定しているといっても、最近のようにデザイン費用のダンピングが行われている現状では、往々にしてというよりもかなりな割合でそれ以下の請求を強いられる。オソロシイことに「今回はこの仕事タダでやって。その分は次の仕事でカバーするから。」などと平然と言うクライアントだっていたりする。フリーランスのデザイナーなら良くご存じだと思うが、この場合「次の仕事」など永遠にこないのである。

そういった訳で、収入を保証されないというメンタルな不安感までもれなく付いてくるフリーランスのデザイナーという職業は決して金銭的にオイシイ仕事とは言えないと思う。場合によっては同世代の地方公務員の方がよほど高収入である。

ならばなぜこの仕事を続けているのか。
それはまた次の機会にでも。