「三丁目の夕日」なんて大嫌い。

小坂文部科学大臣が「昔の日本の美徳を取り戻すにはどうしたらいいんだ(後略)」なんてことを教育基本法の改悪を目指した文脈で発言してたけど、1946年生まれの小坂氏のいう「昔の日本」っていつのことなんやろね?彼が青年時代を過ごした昭和30年代って青少年の殺人率は現代の4倍、強姦率は10倍なんですけど。(参照:少年犯罪データベースドア

映画レビューなどを見ると「三丁目の夕日」っていう映画を絶賛する人を多々見かける。
いわく
「元気で前向きだった日本の姿」
「まだ豊かだった人の心」
「今よりも多くの希望があった時代」

あのなあ、それは映画の話。
若い奴らが今の4倍人を殺し4倍自殺して10倍強姦してた時代だぞ?

私が少年時代を過ごしたのは「三丁目の夕日」が設定している時代よりわずかに下がるが、もう既に高度成長期の負の側面が色濃くなっていた。
小学校の校庭に光化学スモッグ注意の赤旗が立った時には外出禁止になり、台風がやって来るといい加減な都市計画による河川改修の失敗で私の街は水浸しになった。観光地にある白い壁は落書きだらけになり、ジャルパックで出かける海外旅行の日本人は各地で顰蹙を浴びた。
そして今よりもずっとおおっぴらに企業は犯罪を犯した。水俣神通川などで。

私だってあの頃はとても懐かしい。同級生などとその頃の話をするといつまでも盛り上がる。
でも戻りたいなんて思わない。
若い人たちが気軽に外国へ出かけて友だちを作り、カップルが駅で別れのキスをしていても誰も奇異な目で見ず、通りではレインボーパレードをやっていたりする今の方がずっと面白い。