「不安」でモノを売るということ。

「デザインする」という行為は「モノを売る」ための行為でもある。
また、「モノを売る」ということは「飢餓」や「不安」を生み出すということでもある。
たとえば毛穴に汚れが溜まることなんて、顕微鏡で拡大した毛穴をテレビで見せられるまでは誰も気にしなかった。
あるいは墓石や仏壇が商品になる前は、先祖供養をしなければ子孫に祟るなんてことを心配する人々はもっと少なかったに違いない。

メディアでは相変わらず「不可解な犯罪を犯す若者」や「子供を狙うペドフィリア」、あるいは「統合失調症病者」そして「荒れる教育現場」に対する裏付けの無い不安を煽り立てているが、私たちは一体何を売りつけられようとしているのだろう?

資料:
病死や老衰死以外の外因による死者数は2003年では日本全国で7万5638人。内訳は他殺が705人、自殺が3万4千人、交通事故死者数は1万人強。不慮の事故による死亡者の内家庭内事故の死亡者が1万1290人で、内訳は風呂場で2936人、のどを詰まらせて2432人、転倒・転落で2186人。(警察白書
国連の統計では総人口に対する日本の殺人率、つまり私や貴方が「殺される確率」は加盟国で2番目に低い。ちなみに一番低いのはイスラエルだ。