モデスタ・ヴァレンティ通り。

ローマには地図では探せない「モデスタ・ヴァレンティ通り」というところがあるそうだ。「地図では探せない」というのはその名が俗称であるとかエリアが小さすぎるとかではなく、実在しない住所だから。

ホームレスが住所を持てないために不利益を被っていることを問題としたカトリックの慈善団体がローマ市長に働きかけたところ、それに耳を傾けた市長がホームレスなら誰でもそこで住民登録が出来る住所を創造したというのだ。ホームレスは「モデスタ・ヴァレンティ通り在住」として身分証明書を発行して貰え、行政サービスを受けることが出来る。また郵便物などは市庁舎で受け取ることが出来る。詳しくはビッグイシューのサイトにあるバックナンバー(※PDF)で読める。(記事の中で特に興味深かったのが行政担当者の「正式な住所がないことはプライバシーがないことと同じ。」という内容の発言だ。)

「モデスタ・ヴァレンティ通り」、なんとなく心が温かくなる響きに聞こえる住所。
「モデスタ・ヴァレンティ」とは20年前にローマ中央駅で行き倒れて亡くなったホームレスの老女の名前だそうだ。