モデスタ・ヴァレンティ通り。(その2)

友部正人さんが友人の死を歌った「朝の電話」という曲。その中のこの一節が好きだ。
「棺が霊柩車におさめられ 誰からともなく拍手が起きた」
わたしが死んだ時友人たちがそういう風に見送ってくれたらいいなあ。

さて釜ヶ崎解放会館での住民登録一斉削除問題について。
現場の事情をよくご存じの方からメディアでは報じられていないことを色々教えていただいた。その中で新聞やテレビの報道からでは見つけにくいだろうことをいくつか。

・解放会館への住民登録は「慣例」として30年も続いて来た。

大阪市選挙管理委員会は投票場に解放会館に住民登録している人々専用のコーナーまで設けていた。

大阪市は解放会館への住民登録の実態調査を複数年にわたって行っている。

・その調査の上で、長期間にわたって郵便物を受け取りにこない等「あきらかに実態のない架空登録」はこれまでに適正に職権消除が行われている。またこういった適正な住民票削除については誰も異議を唱えていない。

大阪市は上記の各措置を「担当者の独断で行われて来た。」と主張している。

・解放会館での住民登録が悪用されたのは、確認されたのは昨年の12月に発覚した1件だけ。それも悪用したのは日雇い労働者ではない。

大阪市は今回「簡易宿泊所(ドヤ)に登録することを認める。」と言い出した。この場合ドヤが発行する宿泊証明などを必要とするが、実際に労働者がドヤに協力を求めたところ、「協力したいのはやまやまだが、大阪市から何の説明もない」と断られている。

・なぜなら、自分の部屋を連絡先として提供していた支援ボランティアが大阪市と府警の弾圧で逮捕されている事件があり、ドヤ側もそんなリスクを負いたくない。

・また大阪市によれば「同じドヤに長期間にわたって料金前払いで住んでいる」という条件が必要であり、野宿者、日払いでドヤを転々としてる人、あるいは全国の飯場を渡り歩いてとしてる人は対象外になる。


釜ヶ崎解放会館は大阪版「モデスタ・ヴァレンティ通り」なのだ。