1984。そして2008。

 懐中が心細いわたくし、二年間で最低20万円のランニングコストに見合うほど使い倒せるのかとiPhone購入にはいささか腰が引けてたせいもあり、仮予約していたにもかかわらず「品切れです。」とのショップからの電話にある意味ほっとしていたはずなのに。


 「キャンセル一台出ました。」との再連絡に「ユーザインタフェイスのデザインやってて使ってみないわけにはいかんだろう!」と仕事を理由に自分の背中を押してしまった。


 おかげでこの週末はほぼiPhoneの設定と機能の把握につぶれてしまったわけだが。
結論から乱暴に言うと、これはいろんな意味でとんでもない商品だ。そのとんでもなさの一端をアンチアップルもしくはアンチソフトバンクな方々があちこちでコピペしてるのを見たときは笑ってしまった。だって悪意あるように見えるコピペなんだけど、実際にもその通りなんだもの。件のコピペは以下の通り(笑)。


Q、携帯専用サイトは見れますか?A、見られない。
Q、iPhoneにはワンセグチューナー付いてますか? A、無い。
Q、iPhoneにはモバイルスイカとかお財布機能ありますか? A、無い。
Q、iPhoneでドコモやAUの友達と携帯メールのやりとりは普通にできますか? A、普通には無理。
Q、S!メールには対応してますか? A、無い。
Q、iPhoneのカメラで動画撮れますか?A、撮れない。
Q、iPhoneブルートゥースが付いているそうですが、ワイヤレスで音楽聴けますか? A、聴けない。
Q、iPhoneには赤外線通信機能はありますか? A、無い。
Q、iPhoneの電池交換は自分でできますか? A、できない。
Q、FLASHJAVAが含まれているWEBサイトは見れますか? A、見れない。
Q、マイクロSDカードは使えますか? A、使えない。
Q、ノートパソコンのモデムとして利用できますか? A、できない。
Q、WEBやメールの本文をコピー&ペーストできますか? A、できません。
Q、不在着信ランプやイルミはありますか? A、ありません 。
Q、単語登録や定型文登録できますか? A、できません。


 もっとも多少誤解が生じる表現もあって、たとえば他社携帯とのメールのやりとりはできる。だがiPhoneのメールはPCで使ってるISP経由のメールと同じ扱いになるのだ。つまり携帯から携帯ではなくPCから携帯への扱いになる。またiPhoneではPCで使ってるプロバイダやGMailなどのアカウントも設定してメールを受け取ることが出来る。とはいえ、これまで使っていた国産携帯に比べると総じてものすごく「不便」。また同じことをやろうとすると一手間も二手間も余計にかかることも多い。


 ではiPhoneを使う意味は?


 それは「ネットに常時接続されたパソコンをポケットに入れて持ち歩く」ということが人々の生活をどう変えるのか?という実験に参加することであると思う。かつてパソコンで出来ることとワープロ専用機で出来ることはそう変わらないと思われていた時代があった。実際高度に特化したワープロ専用機は不出来なアプリが動くパソコンよりずっと「便利」だったのだ。


 さて。iPhoneワープロ専用機全盛時代におけるパソコンであるかどうかの感触を味わってみるための20万円は高いかどうか。