掘った芋いじるな。


 先日ニュースで映像が流れたのでご存じの方も多いだろうけど。
第二京阪道路建設に伴う土地収用強制代執行に際しての保育園芋畑撤去の話題。わたしはテレビを見ないのでその際の映像は未見だったのだが、ニュースの字面を追った印象だけでは正直言って微妙な心もちだった。

 ニュースサイトにアップされていた涙ぐむ一人の園児を捉えた写真も、メディアにしたらおいしい絵面かもしれないが、国や自治体の専横に異議を唱えることを”住民エゴ”などと揶揄するバカ共を噴き上げさせるだけの材料になりはしないかとの危惧を感じたし(案の定「子供をわざわざそんなところに連れてくる保育園側も悪質」というエントリやコメントが噴き上がっている)、そもそもニュースだけではこの保育園が所有してる土地なのかどうかさえわからず、保育園関係者や保護者の主張の是非を判断する材料になりはしない。

 とモヤモヤした気分でいたら、時々覗きにいく反戦な家づくりというサイトにてそれがホントならこの土地収用騒ぎの裏側で「子供がかわいそう」どころじゃないことが起こっているのを知ったのだった。詳しくは出来れば前述のサイトや門真市議戸田ひさよし氏のサイトを是非参照いただきたいが、注目すべきところをあえて抜き出すと、

1)強制収用の対象とされた芋畑は保育園理事長の先祖代々からの持ち物だった。

2)19年前より園児の学習用畑として「税金免除の特例」を行政より認められていた。(注:「税金免除の特例」は20年間継続して農地使用することを前提に認められる。)

3)保育園理事長は土地収用強制代執行の執行停止申し立て中だった。

4)執行停止申し立てに対して大阪高裁はこの30日に決定を出す予定だった。

5)申し立て中にも関わらず(というか”それゆえに”と言いたいが)大阪府土地収容委員会の認定により強制代執行強行。

6)実は所有者である保育園理事長が知らないうちに土地収容委員会の決定によって土地の所有権は西日本高速道路に移転されていた。

7)土地所有権の移転により「税金免除の特例」の前提である20年間の農地使用継続が中断されたとして、国税局より過去19年分の税と利子(!)合計2200万円超の請求が保育園理事長に届いた。

 私たちが住んでいるのは中国か?北朝鮮か?

 そもそも伏見区から門真市までの28.3 kmに普通車で1300円、トレーラー等だったら3600円かかる有料道路(なんと二階建て12車線!)が国道の渋滞緩和に効果があるかどうかはともかく、道路公団民営化に伴い大阪府の負担金が420億から890億に膨らむこの第二京阪道路建設を強力に推進しているのが児童文学館やドーンセンター、あるいは地域オーケストラをぶっ壊そうとしてる橋下という男だと言うことを大阪府民は覚えておいた方がいいと思う。

↓ここから引用

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 大阪府橋下徹知事は〜中略〜府が今年度支払う、約210億円の国直轄事業負担金については「こちらが要望してつくってもらおうとしている道路で、まけてほしいとはいえない。払ってでもつくってほしい」と述べた。
産経IZA 07/31 より引用

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↑引用ここまで

 しかし。
なんなのだろうな、常に他者に相殺を強いるこいつらは(たとえばここのコメント欄を参照)。あなたがたが住む家が強制収用の対象になり自分の知らないうちに所有権が移転されててもちゃんと相殺してくれるのだろうな。

 このところ「”相殺”することを立ち位置とする人々」の心性に平静でいるのが困難な日々が続く。