凄いデザインのカメラは共産圏出身。

WERRA(ヴェラ)は1950年代に当時共産圏だった東ドイツで作られたカメラだ。
第二次世界大戦後にカール・ツァイスは二分割され、東ドイツではツァイス・イエナとして数々のカメラを生み出した。WERRAはその中の一つだ。

黄金分割で構成された筐体には一見何も操作部が無いように見える。
巻き上げレバーを鏡胴周囲に配したユニークな設計なのだ。
その他の巻き戻し機構やカウンターなどは底部にごく薄いパーツでレイアウトされている。
軍艦部にはシャッターのみで刻印やプリントは一切無い。わずかに裏側の革面にWERRAの文字がエンボスされているだけだ。
レンズカバーを取り付けたWERRAはまるで抽象化されたカメラのイメージだ。
またレンズカバーを逆向きに鏡胴前部に取り付けるとレンズフードになるスマートなアイデアが採用されている。
加工精度も素晴らしく、機械に触る悦楽を与えてくれる。
ちなみにこのWERRAの目測式ファインダーもクリアな見え方をするが、距離計の付いたWERRAのファイダーはもの凄い見え方をする。(俗に「肉眼より美しく見える」と言われているのだが、わたしも距離計付きWERRAのファインダーを覗いた時にその言葉に嘘は無いと思った。)

これ以上シンプルなデザインはどんなデザイナーにだって出来ないだろう。
こんなカメラが今から半世紀も前に計画経済の共産圏で作られていたのだ。
ドイツ人おそるべし。