「デザイン家電」って...。恥ずかしくない?

台湾の液晶テレビブランド、HANNspreeが面白い。約100種類もの液晶テレビ(主に15インチまでの小型のもの)を発売しているそうだ。

私がサラリーマンデザイナーの時によくやらされたのが、標的となる消費者層を絞り込むために消費者をある基準で分類して再配置し多数派たる消費者層を浮かび上がらせるためのマトリクス作成作業だったのだが、HANNspreeはそんな小賢しいマトリクスなど縦横無尽に無視しているかのような製品開発をしていて、ある種爽快な思いがした。デザインアイデンティティが無いのがHANNspreeのデザインアイデンティティと言えるかも知れない。数ある商品のなかには「ちょっとこれはどうか?」というものもたくさんあるが、そんなものを含めて元気いっぱいだ。

以前から日本に入って来ていたアジア製の安物の文具などにはやたらテントウムシだの象さんだのの具象的なデザインモチーフのものが目立ち、ディスカウントショップの売り場にB級テイストを振りまきつつも同時に日本の消費者に多少憐憫の情を湧かせていたものだ。またそんな製品群を見てアジア製品畏れるに足らず、みたいな感情を抱いていたデザイナーも多かったに違いない。だがしかし、わたしたちが油断しているうちにその具象好きパワーがこんなことになっていたとは。

現在では弱電製品の多くは汎用部品の組み合わせで製品が成り立つ。汎用部品の質が高ければ後は品質管理如何で日本の製品とアジアの他の国の製品の「工業製品としての質」の差を縮めることは難しくないし、またその差はこれからもどんどん小さくなっていくはずだ。消費者が気にならないぐらいにその差が小さくなった時こそ、わたしたちの「デザイン力」が問われる時だ。atehacaやamadanaのようにスノッブなのもキライではないけど、なんだか袋小路のような感じがしていまいちすっきりと受け入れられなかった私にはこのHANNspreeの屈託の無さがうらやましい。

追記:
ここに詳しいレポートあり。台湾、行ってみたい。
また、今年の3月から日本での販売も始める予定だそうだ。5万円〜10万円程度の価格設定になりそうだとのこと。