クロスカップリングの無いデザインを。

先日テナント仲間の社員の方が最新iPodを入手されたので、それまで使っていたiPodをお下がりにいただいた。バッテリーが寿命だったけどAPPLEの有償バッテリー交換サービスに出したら新品になって返って来てゴキゲン至極。今まではCDを沢山入れたカバンを持ち歩いていたのでこれで私も 原人→古代人 くらいには昇格した。

私がいただいたのはホイールの上にボタンが4つあるタイプだが、最新のものはご存じのように「スクロール」と「プッシュ」を兼用したホイールが付いている。初めて見た時は「こする」操作と「押す」操作を兼用させて大丈夫なのかな?と危惧をおぼえたのだが、実際に触ってみたところ全く不安なく操作出来るばかりか、操作することが快感でさえあることに驚いた。これは昨今の高度なセンサー技術があってこその操作体系だ。

工業製品のデザインをする時には「クロスカップリング」の起きる可能性を考えなければならない。「クロスカップリング」とは、製品上でXとYの操作がある場合、X方向の操作につれて意図しないY方向の動作が起きることである。例えば直進しているラジコンカーのスピードを上げようとスティックを前に動かしたらスティックが左右にブレて車が意図せず左右どちらかに曲がってしまう時がある。これは「クロスカップリング」が起きているのだ。
iPodのホイールをスクロールするのには殆ど指に圧力をかける必要がないので、「スクロールするつもりが誤って押す」という「クロスカップリング」が起きる心配が少ない。また、押すポイントは円対照に四つ、それぞれボタンが対岸にあり指の基準位置が明確なので誤動作を招きにくい。

ちなみに円の上にポイントを設ける場合には基本的には偶数にした方がよい。人間はX-Y基準の空間把握には馴れているがそれ以外の座標軸を基準に動作することには馴れていないからだ。(引用画像はソニーPSPのオーディオリモコン。はたしてこれは操作しやすいのかどうか。)