なんやねん、「ケルト原人」て。

招聘元が付けたキャッチが「人力テクノ」に「ケルト原人」。
まあ確かにKiLAのフロントパースン、ローナン・オスノディがヒゲモジャ蓬髪そのうえ前歯が欠けたまま裸足でバウロンをどこどこ叩いている姿は「原人」っぽいといえば言えないこともないけど。

木曜日は心斎橋クアトロにてアイルランドのバンド「KiLA」のライブに参戦。
二年前の来日公演で出逢ったローナンの哀しげな双眸に引きつけられてKiLAのファンになった私は今度の来日を心待ちにしていたのだ。さらに今回はアイリッシュダンスを世界的なエンターテイメントショーに育て上げた立て役者の1人、ジーン・バトラーも共演となれば、このライブを観ずして何を観よというのか。

なぜかいつもと違って館内全面禁煙の上に最前列には椅子が並び、かつ「ケルト=妖精」と思っているようなロングスカートなお嬢様もチラホラ。ダメ人間たちが地べたにヘタりこんでオープニングを待つ、といういつものクアトロとの違いに戸惑いつつも、登場してきたローナンの噛みつかれそうな目つきに一気に引き込まれてしまった。

前回のステージよりもさらに緻密な音作り。より増した音の厚み、多彩さに圧倒される。「ケルト」も他のルーツを持つ音も混じり合って独特のグルーブを醸しだし、まさにKiLAの音としか言えない。
そして「原人」などというキャッチとはかけ離れたローナンの静謐な世界。
ひたすらデカく鳴り響くバウロン、そしてその歌声はしゃがれているのに、殆ど笑顔を見せず宙を睨みつけたまま歌うローナンはとても知的で静かだ。

ジーン・バトラーのステップは往年の迫力から思うと少々期待外れの感もあったけど、ダンスの出番が無いときにメンバーに混じって楽器を持ちコーラスを合わせる彼女はとても楽しそうで、それがこちらにも伝わって嬉しくなる。
休憩を入れて前後半2部に分かれた長時間のライブだったけど、長さを全く感じさせてくれない素晴らしいステージだった。

余談だけど、カーテンコールが終わり喝采に送られメンバーが退場していった後も1人ステージに残ってバウロンのスティックを正しい位置に並べ替えるのに執着していたローナンの姿(並べ終えたあとは観客席を振り返りもせず退場)が妙に微笑ましかった。やっぱり「原人」?

追記:
以前のエントリーで「アルバムが売れたからローナンも前歯を入れて来日するだろう。」と書いたが、前歯はやっぱり抜けたままだった。